2023年9月6日水曜日

【提言】原発処理水問題の本質を議論しよう





 8/24、福島第一原発から発生した処理水の海洋放出が始まった。

つい先日、福島の海を旅した者として、また日頃から海で遊ばせてもらっている者として、震災直後に物資と共に被災地を尋ねた者として、懸念は積もる。


政府やメディアは、処理水の海洋放出に反対する中国や韓国からのクレームを問題視している。

そしてこのクレームに対し、『科学的根拠のない批判は受け入れられない』の一点張りで、まるで理解力のない人のように扱う。

しかし本当に反対意見は正当ではないのか。


私見として、原発処理水問題の本質は、クレームを悪者のように扱うことや、諸外国の対応を考えることではないと考えている。


処理水は本当に安全なのか。

海洋放出という決定が正しいのか。

コレこそが議論すべき点であり、この壁を乗り越えていないからこそクレームが起こっているのであるのではないか。


そして抗議電話が中国や韓国からだから不快に感じているように思う。

事実、日本人からの抗議電話や抗議活動にメディアは触れない。

この問題に政治を混同するなという人が、政治と外国人差別を無意識に持ち込んでいる矛盾。

そしてそれに気づけない日本人の単一民族国家の弱点。


これでは問題の本質に向き合えないし、当面解決はできない。


素人ながらに私は思う。


政府が安全と言っているからと単純にそれを信じている国民こそが危険ではないか。


●真に安全なら、海洋放出ではなく生活用水にすればいいのではないか。


放射能を海に流しているのだから、不安になるのは当然のことではないか。


放射能の有害物質は基準値より少ないとはいえ、有害物質を海に流すこと事態が倫理的に許されるのか。


福島の処理水は、事故で発生した核燃料に浸った汚染水を希釈したもの。通常運転の原発の冷却水との単純比較で、安全という主張は成り立つのか。


トリチウム以外は除染して海洋放出しているとするが、まだ人類が発見していない有害物質はないのか。


希釈しているとはいえ、トリチウムが半減するまでに12年以上かかることから、長期的に蓄積することはないのか。


多くの隠蔽や改ざんが吐露している政府や東電の発表するその数値自体を信用していいのか。


すでに東電の汚染水処理の作業ミスが確認されているが、今後50年続くとも予想される処理水放出期間に完全な安全作業は保障されるのか。


●IAEAは処理水は安全基準を満たすと判断したものの、IAEAとして海洋放出という手段は推奨していないと明言しているし、そもそもIAEAは第三者機関である前にに国際原子力機関であることを忘れてはいけないのではないか。


中国の抗議に対して、政府はこれから理解を求めていくと声明を出しているが、それはの震災後のこれまでの12年間に済ませておくことだったのではないか。




私は海の側で育ち、海で遊ぶ者なので、公平な判断ができなくて申し訳ないが、それでも素人の私でさえ疑問はこれだけ思いつくし、感情論抜きに冷静に考えても不信感は拭えない。

汚染水を処理しなければ、原発の廃炉は進まないという事実は理解するが、政府の言う科学的根拠だけではあまりに説明が乏しく、あまりにも福島を無視した強硬な実行だったのではないか。

そしてその論点は、中国からのクレーム電話殺到という形でアッサリとすり替えられてしまっていないか。

この処理水問題の本質は、もっと違うところ(安全性と判断の妥当性を問うところ)にあるはず。

そしてその深層には、そもそも無関心であること、そしてメディアを鵜呑みにした思考停止という問題もはらんでいるのではないか。









提言に付随して、以下も付け加える。



岸田首相が、放出直前に処理水について福島の各自治体を訪ねた会談では、結論ありきの説得作業だった様だし、漁協組合のトップには責任者である自らではなく西村大臣を説明に向かわせるという雑な対応。

たしか総裁選では、『人の話をよく聞くこと』を武器に当選を果たした岸田氏だが、福島の人の声は無視に近い。

何かあれば私が全ての責任を取ると息巻いたところで、自然への汚染や福島の人々の心は回復しない。



福島で出会ったローカルサーファーのひとりは、『海洋放出なんて嫌に決まってるべよ。でもどうせ上だけで決めてしまい、俺たちの声なんて届かねぇ』と遠くを見つめた。

大地震に加えて大津波。

さらに原発の核汚染被害に加え、このタイミングでの処理水放出という四重苦。

福島ではラジオや電子掲示板で日々放射線量を伝え続ける日々だし、いまだ家に帰れない人もいる。

震災から12年もの歳月が経ってもなお、復興に向かえない福島の悲しい現実を知るべき。

まだあの大震災から前進できずにいるんですよ!?

この惨状を以ってしてもなお原発にこだわる政府や東電、自民党、経団連の心ない判断には心底呆れる。







12年間この処理水を放置し、イチバン安上がりな対応策として海洋放出を強硬した政府。

近隣諸国は何かにつけて反日を訴えるのはわかっていたことだし、年間1600億円の売上を計上する海産物の太い輸出先である中国にボイコットされれば、安上がりなはずの手段が逆に高い代償を負ったかにも思える。

国内外に失った信頼など数値にできない損失を鑑みれば、安上がりだなんてとても言えない。

(実際は、安上がりなはずの当初の処理予算34億円の約38倍の経費1290億円がかる見込みも知られている)


また中国の魚介類輸入停止措置を受け、岸田首相は1000億円相当の支援策をまとめた。

ちゃんと対応していれば、その支援策さえ不要だったはず。

民意に寄り添っているように見せているが、完全に過失と税金の無駄に思える。




いまからでも他の解決策を選んで欲しいと願うし、海や自然で遊ばせてもらうプレイヤーとして、福島、宮城、茨城のサーファーの声を受け止め代弁したい。


こんなストレスのかかる時代にこそ、海や自然で過ごす時間は重要だし、海も自然も大切にしなくてはならない。


そして忘れてはいけないこと。

こうした判断をしている政府を選んでいるのは、私たち国民。

百人いれば百通りの価値観があるが、今の時代にそぐわない価値観の政治家が多すぎる。

古き日本の偏った考えに終止符を。

政府に声をあげてはいけない教育に危機感を。

今こそ行動。

沈黙は容認です。

2022年11月7日月曜日

【速報】バリ島入国最新情報【2022年11月】

コロナの規制が本格的に緩み始めた202211

早速バリ島を起点に、インドネシアへサーフトリップへ行ってきたので、入国について現地で見てきた実際の状況を共有します。


なんの手続きと準備が必要なのか?

何を空港で求められるのか?


実体験をもとに、観光客視点で記述しますので、参考にしてください。

(観光客視点ですが、全国通訳案内士、総合旅行業務取扱管理者資格、

総合旅程管理主任者資格を所持しており、情報ソースとしては信頼できるものと思います。)


ただし段階的に規制が緩和されて諸々のルールが急激かつ大幅に変わってます。

最新情報のチェックは抜かりなくお願いします。



在インドネシア日本国大使館公式ページ

https://www.id.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html








インドネシア入国の条件

インドネシア入国の条件は3つです。

①パスポート有効期限6ヶ月以上
②ワクチン接種証明(2回以上)
③アプリ(PeduliLindungi)のダウンロード




左が日本政府発行のワクチン接種証明アプリ
右がインドネシア政府発行のワクチン接種証明アプリ




①パスポート有効期限

パスポート有効期限については各自でチェックのこと。

コロナ対策に気を取られ、パスポートの有効期限のチェックを忘れて出国できなかったというケアレスミスが発生しているようです。



②ワクチン接種およびワクチン接種証明

インドネシアでは入国に際し、2回以上の接種が義務付けられています。

2回接種でも入国は可能ですが、帰国の際に72時間以内のPCRの陰性証明が必要だったり

帰国後の隔離が必要だったりしますので、3回以上接種してからの渡航をお薦めいたします。


マイナンバーカード所有の方

ワクチン接種証明書は『接種証明書アプリ』にて即発行可能です。

日本語と海外対応の英語表記で、QRコードが表示されていることを確認してください。


マイナンバーカードの発行をしていない方

市役所や区役所の担当課にお問合せください。

海外用の接種証明の発行をお願いすると、英語表記でQRコードが表示された証明書を紙面にて発行してくれます。

ただし自治体によって2-3日もしくはそれ以上かかりますので、早めの準備を。

可能なら紙面の証明書もスキャンしてスマートフォンにて画像データとして持ち歩くと便利です。

(スキャンはコンビニのコピー機でも可能です)


③アプリ(PeduliLindungi)のダウンロード

インドネシア政府発行のこのアプリでワクチン接種証明を登録する、というのがこのアプリの主旨。

ところがワクチン接種を登録するにも、登録したあと承認を待つにも、バグやら承認待ちやらが多く、

なかなかスムーズに行きません。

私は、インドネシア以外のワクチンという欄から念の為登録してから出国しましたが、実際にはトップ画にて

ダウンロードしてあるアプリを見せたのみで、内容まで確認されることはありませんでした。

それ以上に、②の接種証明書の方が重宝しました。

とはいえ、入国の必須条件になってますので、必ずダウンロードを。





ビザ申請

入国受入れ再開以来、VOAはコロナ前と同様になりました。

日本人のパスポートは、観光滞在の場合は基本的にはビザの事前申告は不要です。

現地でVOA ( Visa On Arrival = 到着時発行ビザ ) というビザを現地インドネシアの空港で購入して入国します。

就労滞在・長期滞在・政府関係者入国などは例外で、事前申請が必要ですので要注意。


かつて、ビザ購入用の米ドルもしくはインドネシアルピアを現金で用意して入国する必要がありましたが、

それはもう過去のお話。

今ではクレジットカードで現地でビザを購入できますのでご安心を。


結論から言えば、ビザ申請は不要。

手ブラで入国可能です。





いざ出国






出国時の航空会社のカウンターではインドネシア入国条件の

①パスポート有効期限6ヶ月以上

②ワクチン接種証明(2回以上)

③アプリ(PeduliLindungi)のダウンロード

の確認。


他はコロナ前と変わらず出国手続きを完了させるのみ。

煩わしい手続きさえ、久しぶりすぎて旅を盛り上げるエッセンスとなります。




そしてドキドキの入国

手続きやアプリダウンロード用に椅子を用意してありますが
この列とは別にドンドン受付に突っ込んで行きます



チェック項目は事前アナウンス通りコチラ




いざ現地に着いても、手続き忘れなどないか不安でした。

なんだか前にも増して更に煌びやかになった印象のあるホールで、

早速コロナ対策のカウンターが待ち受けています。

このカウンター、あまりに簡素で素通りし放題ですが。。。


コチラで入国条件である

①パスポート有効期限6ヶ月以上

②ワクチン接種証明(2回以上)

③アプリ(PeduliLindungi)のダウンロード


を確認され、アッサリと次のカウンターへ



VOAカウンター




コチラのカウンターにてビザを購入(IDR500000

日本円とインドネシアルピア、どちらの通貨で支払うか質問されます。

どちらでもいいなぁと思いつつ。。。


¥1 = IDR100 

と言われ、ルピアで払うとクレジット会社の当日のレートで換算されますので、少々お得なのでルピアを選びました。

ちなみに 後日確認すると、¥4838 (IDR=0.009676円) でした。




イミグレーション

次のカウンターは、イミグレーション、つまり入国管理局。

ここで滞在日数や滞在の目的などを質問されますが、コロナ前後で特段の変更はありませんので割愛。

バリ島デンパサール、ングラライ空港の税関は、両手人差し指の指紋デジタル登録が導入されていました。

もちろん写真撮影はNGのため、写真もございません。



税関

預け入れ荷物をカルーセルで受け取って、最後に税関へ。

以前は機内で紙を配布され、狭い座席で手荷物を漁りながらパスポートを引っ張り出しつつ、

煩わしく書き込んでいましたが、今はオンライン申請となっています。


税関の事前申告サイト

https://ecd.beacukai.go.id



ただし、コチラの電子申告、なんと当日のみ有効。

私はこの情報を手に入れた矢先、気合いのあまり事前に入力を済ませてしまい、税関ゲートにて

You are expired ( 期限切れだよ )

と無情の宣告を受け、その場で税関のwifiに繋ぎ直して入力し直し。。。

長蛇の列に並び直しとなりました。。。。。


入国直前のワクワクしているタイミングでのお預けにイライラソワソワ。

なのでweb入力は、インドネシア入国の当日に済ませましょう。


ただし、バリ島デンパサール・ングラライ空港のフリーWi-Fiはメチャクチャ弱いです。

出発と到着が同日なら出国直前に済ますか、ギリギリのタイミングでの税関Wi-Fiにて

手続きすることをお薦めします。







インドネシアでの島間の移動


ONLINEの看板と共にオンラインチケット購入の代行業者が並ぶ




事前情報では、島を渡るフェリーでもインドネシアのワクチンアプリ ( PeduliLindungi ) の提示が

必須とされていました。

ところが実際は、一度も見せることはありませんでした。

一度だけワクチン接種証明書を提示しましたが、それだけ。

入国の水際でさえルーズになっているだけに、国内移動はもっとルーズになっているようです。


ただし、フェリーチケットの購入はオンライン(E-Ticket)に統一されていました。

自分でオンラインチケット購入使用にも、インドネシア語ばかりでよくわからず不安でしたが、

フェリーターミナルの近くに行くと購入の代理店が乱立していたのでそこでお願いすれば手続き可能です。



ショッピングモール

ショッピングモールでもインドネシアのワクチンアプリ ( PeduliLindungi ) の提示が必須という事前情報でした。

ところが街では提示は一才なし。

ホテルでも一才なし。

そればかりか、誰もマスクすらしていません。

でも接種証明書は持ち歩いた方が安心です。




そして帰国







事故も感染も怪我もなく無事に帰国の途へ。

2022年10月に政府の方針が変わり、ワクチンを3回以上打っていれば、

帰国72時間前のPCR陰性証明や帰国後の隔離措置などが撤廃。

これは大きな追い風です。


バリからの出国はスムーズです。

入国の税関と同じで両手人差し指の指紋をデジタル登録して出国手続き。


かつて、出国税のようなものを搾取され、現地通貨を使い切った身に重い負担がありましたが

(丁寧にATMまで用意されていました)

今はなんの支払いもなくサクサク出国です。



帰国後の成田空港







帰国後、健康状態の観察のためにパスポートと紐つける機能が設定されていました。

日本に渡航する外国人はみんな知っているようでしたが、日本人は逆に知らない人ばかり。

事前に知らなくても困りませんでしたが、念の為情報共有です。


入国アプリ(My SOS

コチラで帰国後の健康状態を観察するようです。

でもアプリがなくても、厚生労働省のwebサイトに必要情報を入力すればスムーズに帰国できます。



コロナ感染症対策質問web

https://arqs-qa.followup.mhlw.go.jp/#/


スタッフが常駐し、その場で入力できるようにアシストしてくれますので心配は不要です。




トランジットで寄ったマレーシア




ちなみにマレーシアの入国に関するコロナ対策措置はというと。。。

アプリ不要、ワクチン不要、ワクチン接種証明書不要。

もうコロナ前となんら変わりません。

ビザも不要。

とにかく全て気軽です。




まとめ




念願の出国

久しぶりの渡航。

久しぶりの海外。

かつて住み込んだほど好きなバリ。

数えきれないほど通ったインドネシア。

待ちに待った入国の瞬間は鳥肌モノでした。



ぜひ皆様も久しぶりのインドネシアへ!!

この記事がその一助となることをお祈り申し上げます。


また、ヘルプが必要な場合は、遠慮なくご連絡ください。



インドネシアや東南アジア諸国はデング熱やマラリアなど、

もっと過酷な感染症を乗り越えた経緯があり、国民はとても逞しいです。


コロナは比較的軽度な感染症なので、もう気にしてもいません。


実際、WHO発表でコロナは感染症危険情報において、レベル1までスケールダウン。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221019/k10013864221000.html


海外ではコロナはもう過去の感染症となりつつあります。

遅れを取らないよう、私たちも行動再開しましょう!!


(ただし緊急事態宣言は解除されていませんので油断は禁物)

(くれぐれも最新情報をチェックして渡航されてください。)

(入国、出国、帰国ができなかった場合でも当サイトでは一切責任を負いかねますのでご了承ください。)


2021年8月31日火曜日

津波を巡る工事について

 安全な暮らしか、自然との共存か





地元浜松でサーフィンすると、学生時代に戻った感覚がありワクワクする。

夏は自転車を漕いで毎日のように海に行き、日が沈むまで遊んでいた。

大人になって振り返ると、とても贅沢な時間。

人は少なく波は豊かでとてもいい場所だ。


ところがこの夏、10代の頃から通っていたサーフポイントに不穏な大型重機が

ポイントの脇を流れるそれなりに大きな川の中で、轟音を立てている。

どうやら堰き止めようとしているようだ。






地元に住む友達でさえ何の工事か知らない。


ノスタルジーの喪失。

生態系の破壊。

景観の破壊。


いろいろな不安がよぎる。


区役所で調べると、川を堰き止める水門を増設する工事とのこと。

不要だ!と即時に思ったものの、設置目的を調べると津波対策ということで、ほんの少しだけ納得した。


浜松では東日本大震災以降、津波対策として海岸という海岸に防潮堤が造られ、海と住宅街の数十メートルが分断された。


一方、湘南では海と暮らしが近い。

宮崎でも海を活かした街づくりができている。

浜松は、必要以上に危ないものと、海に蓋をする傾向にあると思う。

小学校の時、夏休みに入る前日には、海には近づくなと言われた記憶がある。

こんな素晴らしい海なのに。


その防潮堤すら抵抗があったが、その防潮堤の隙間となる河口に、同じく防潮のための壁を設置するのが今回の水門工事の目的らしい。

安全対策ということなら、わからなくもない。


肝心なのは、それが地元の民意かどうか。






区役所の資料を読み解くと、地域代表と有識者にて審議があったとこのと。

でも浜松に住む家族も誰も、その審議のことを知らない。

そしてコロナの状況により、工事の説明会開催が開かれず、この資料をもって代えさせていただきますという一言。

区役所の受付脇に貼ってあるのみ。






全く機能しない説明会代案に首をかしげつつ思う。


平和な暮らしは誰もが望むこと。

けど果たしてみんなが、この大規模工事を望んでいるのか?

1000年に一度の津波のために、生態系や景観の破壊を許しているのか?


私は工事に反対したいわけではない。

住民が公平に選択した結果なのかを知りたい。


そして一番あってはいけないのは、津波対策という住民の危機感につけこんで、数億円にも上る工事の発注が目的であること。



海の際という人目につかない立地で、公表せずに工事を進めること。


暮らしの安心か、環境の保護か、工事ありきの選択か。

『いつのまにか』『なんとなく良さそうだから』で工事が進むのだけはやめてほしい。




2020年7月20日月曜日

コロナ自粛。成長した子供の旅立ち。






こんにちは、教育の父、新渡戸稲造です。笑
(五千円札の人)

長かったコロナ休暇での息子の成長と旅立ちまで

ろくでもない親なりに得たものとまさかの結末。

きっと共感してくれる方がいるに違いないと信じます。


コロナ自粛




私は3/29の週末のスキーイベントを最後に、完全活動自粛。

スキーガイドという仕事柄、遠隔地へ移動しては、人と行動するのが業務なので、

時勢を鑑み、一切の活動をキャンセルして自宅待機しました。




外で遊ぶのが大好きな他のアクティビストと同じく、あんなに家にいたことは後にも先にもありません。

当初は、スキーシーズン中に疲れた体を休めてなんて楽観視していましたが、状況はみるみる深刻化

調子に乗って訪日外国人を顧客にしている私は、先行きのわからない状況に不安に駆られ、

そもそもインバウンドの将来性はどうなるのか悲観し、一時は眠れなくなったことも

場所も世相も影響されないプログラマやウェブデザイナーへの転身

いっそ企業への就職なんかも考えました。




でもその時仲間や先輩が、これまでの努力を認めて、自分にしかできない事に気づかせてくれたことで

勇気をもらい、踏みとどまることができました。

その気持ちを整理するように、ここぞとばかりに写真やムービーをまとめ、

溜まっていた手続きや書類整理と勉強に時間を注ぎ込む。
(カッコつけてるけどすぐ寝落ち)

ある意味でとても良い時間になりました。
(と思わなければやってられない笑)




子供との時間の葛藤




ここでひとつ大変なことに気づきます。

息子がいると作業が捗らない

自粛開始当時の息子はまだ9ヶ月と小さいので、目を離すわけにもいかず、

間を縫ってなんとか作業を進めるも、気が気じゃない

結果、ぜんっぜん作業が捗らない!!




実はこのジラシが焦りとなって、不安に繋がりました。

特にストレスに感じたのは、自分の作業ペースを保てないこと。

仕事のペースを掴んだかと思えば泣き出したり、ダッコ要求してきたりで強制ストップ。

コチラが息抜きをしたい時に限って息子は昼寝し、仕事のチャンスタイム到来。

完全に『今じゃない感

そうこうしてるうちに1日は一瞬で過ぎるのです。








子供の面倒を見るのに、ある程度時間も手間もかかるのは承知してましたが、

そうか、世の中のお母さん達は、この葛藤と戦っていたのかと思い知らされました。

気まぐれに付き合って計画が立てられないか、もしくは計画を立ててもすぐ狂って、何も進まない。

この自分の作業ペースを保てないところにこそ、主婦のストレスの本質がある気がします。

夫婦でサポートし合う場合は、作業分担もさることながら

時間をある程度決めた上で、交代で作業が完遂するまでペースを保たせることがミソだと考えます。


無駄に頑張ることをやめた




でも家内のリクエストを受け、ある時吹っ切れました。

仕事も子供に対しても、どちらも中途半端なのにイラついてるだけの悪循環を止めなきゃいけないと思いました。

そもそも息子は何ひとつ悪いことしてないのです。

甘えたいだけ。

ストレスを持っているのは、器の小さな私のエゴ。

仕事は進まなくてもいいから、できる時にできるだけ。

コロナが終わればまた遠征と出張ばかりになるわけだし

ちゃんと息子に集中し、遊ぶようにしてみました。





そうすると、不思議と息子もこれまで以上にこちらも向いてくれるように。

リアクションが大きくなり、笑顔が増し、ダッコの要求も増えました。

それまでの『赤ちゃんをあやしてる感』から一転

言葉は話せなくとも、息子が何を伝えたいのかおよそわかるようになり

人間同士のコミュニケーションに近づいて3000倍かわいくなりました。




実は私は、海外遠征で出産にすら立ち会えず、息子とジックリ過ごすのは恥ずかしながらこの機会が初めて。

いま考えれば、時間とお金こそ掛かるものの、『教育が一番効果のある投資』とも言われるし

デスクワークの時間を削ってでも一緒にいて良かったと思ってます。

まるでコロナに与えられたかのような産休は、母親業の大変さを痛感するというオマケ付きで、とても意義のあるものでした。

そして殺伐とした緊急事態宣言下においても、赤ちゃんは実にオーガニックで

無邪気に癒しを笑顔を提供してくれて、いてくれてよかったと心から思いました。


世の中のお父様方

せっかく会社員されてるなら、産休制度を利用しない手はないと思いますよ!

子供が300000倍かわいくなります!
(3000倍から増えてる!?)

一緒に育児しましょう!



子供の急成長




さてその自粛中、たった2ヶ月ですが、まだ生後9ヶ月だった息子は急成長を見せます。

掴まり立ち
ハイハイ
高速ハイハイ
感情表現

週を追うごとにできることが増え、すごい進化を遂げました。

子供の成長の一瞬一瞬を見逃さず寄り添えて良かったです。

内面だけでなく、すっかり身長も大きくなり、体重も増えました。

ただし、自宅待機で運動不足の父親(私)の体重の方が急成長していた事はナイショです



早すぎる旅立ち


涙をこらえてる姿に涙する私





そしてコロナが落ち着き、いよいよ社会生活の開始。

それは息子にとっては、延長に次ぐ延長だった保育園の始まり。

相模原市では0歳児から保育園に預けないと、待機児童になる可能性大だそうで

当初は抵抗があったものの、残念ながら保育園に預ける方針に決めてました。

コロナの影響で入園式や懇談会などあらゆるイベントが中止だったため、息子はある日いきなり保育園に連れて行かれます。

自粛中の2ヶ月もの間、寝るときもお風呂も、時にはトイレも(なぜ?)

とにかくずっと一緒だった我が子。

まだ10ヶ月しか生きていないのに、親から離されるその切なさ




出発の朝も知らずにいつも通り遊んでる姿を見ると、なんだかコチラの方が寂しくて、保育園に行く道の足取りは重く

散歩と同じ道で登園しているはずなのに、3歩進んでは2歩下がり、散歩の時よりぜんぜん進みません。

いざ園に着くと、よくわからないまま親と離れ、ポカーンとしてた息子。

状況がわからず親を探して泣いて、しばらく過ごしてまた泣いて、の繰り返しだったそう。

2日目からは置いてかれるのを察して、園庭に入った瞬間から泣き出す。

必死で泣いて嫌がって、コチラに手を伸ばしている子供を振り切り、置いてくるのは心が引き裂かれそうで

(いま思い出しても涙が出そう)

『大丈夫大丈夫、お友達と遊べて楽しいからねー』

なんて慰めてみるけど、その言葉は完全に自分に向けた罪滅ぼしの言葉だったり。




なんでこんな思いをさせてんだろ?
子供にとっての幸せって何だろ?
何が正しいんだろ?

わからなくなり、罪悪感に襲われながら日々を過ごす両親。

こんな小さな出来事ですら、まだ産まれたての親子には大きな旅立ちだったのです。


目を見張る成長









そんな不遇を味わせたにもかかわらず、夕方まで息子は健気にお迎えを待ってて、目が合うととびきりの笑顔で喜んで、ボテボテのハイハイで跳び寄ってきます。

か、か、かわいい

悲しい思いをさせてるはずなのに、8月の真夏の空より曇りのない笑顔で迎えてくれるなんて

保育園に預けてからは、こんな健気すぎる息子が愛おしすぎて、さらに向き合うようになりました。

息子が頑張って留守番をしてる分、自分も頑張ろうと、許された時間で必死に仕事をこなし

帰ってきたらその分思いっきり遊びます。




子供の立場で考えてみました。

ダラダラと一緒に家にいたそれまで

昼は先生やお友達と刺激的な時間を過ごし、家では本気で遊んでくれるようになった親と過ごす今

どっちが充実しているのか。


月齢11ヶ月の本人に聞いても明確な返事がないので(照れ屋さんかな?)わかりませんが、

きっと保育園に行くことも悪くないと思うようになりました。

そう、保育園は共働きの両親のための施設ではなく、そもそも教育機関なのです。

加えて親の仕事も効率が良くなり、生活に還元されます。

親にとっても外出する時間は刺激的です。

(全部正当化です汗)






そんな日々を過ごすうち、息子は私たちが教えてないのに

いつの間にか手を合わせて『いただきます』『ごちそうさま』をするようになり

いつの間にかオモチャで遊ぶのが上手くなり

いつの間にかスキップするように(これは嘘)

いつの間にか九九を全部言えるようになり(これも嘘)

以前にも増してさらにさらに笑うようになり(これだけはホント)

生まれつき大食漢だったのに今ではダイエット中のOLより食べるようになり(嘘と信じたいくらい)

全力で遊んでくるので夜はすぐ寝るし

夜泣きもなくなりました。

登園も笑顔になり、コミュニティに参加するのが楽しそう。

子供の吸収量の多さに恐れ入る日々です。

私の抜け落ちる記憶量より多くのものを得て帰ります。
(それはそれで改善が必要)


以前は仕事の糧として、多くの人と会食&情報交換して、遅くに帰っていた私ですが

今ではアポは全く入れず、たった5分早く着くだけの電車でも逃すまいと、駅に駆け込む始末。

オジサンのダッシュは見苦しいですが、そんなこと気に留めてられないくらいかわいいのです。


学んだこと










かわいい子には旅をさせろ。

この言葉には、子供の成長はもちろん

実は親自身も成長させてもらう意味があり

さらに奔放に旅してきた自分を見守ってくれてた広い親心を痛感するという

本当の意味を知った気がします。

コロナ自粛の当初は荒んでいた私ですが、気づけば自分が内面・体重(!?)ともに成長させてもらった、

コロナ自粛と子供の旅立ちでした。

まだ幼いキミがこれからの旅路でどんな景色を眺め、どんな仲間に出会うのか

いまから楽しみで仕方ありません。




1年前




そして息子は今日で1歳を迎えました。

この1年間たくさんの驚きと笑いをくれた息子に感謝。

産まれてきてくれてありがとう。

独り立ちするまでの僅かな間、たくさん旅しよう。

かつて身ぐるみひとつで極寒のチベットを旅した僧侶のように。