【4/10 SUN】
大陸と離れているため、固有種も多く、特異な環境が僕たちを待ち受ける
南極海からウネリが打ち寄せ、波も豊富でビッグウェイブポイントも存在するという
当然海水は驚くほど冷たいが、サーフトリップをするには面白い場所である事は間違いない
僕たちはこの島をキャンピングカーで回ることにした
ボロボロのバンを格安で手配する
だいぶ昔の型のトヨタハイエースをベースにしたキャンピングカーだ
オーストラリアは驚くほど日本車が普及している
街行く車はニッサン、トヨタ、ミツビシばかり
古い日本車も多く目にする
古いハイエースで左側通行の道を行けば、感覚的には日本のようだ
しかし、風景が明らかに日本ではない
州都ホバートを出ると草原や大きなシダが生い茂り、あたかも原生林だ
ロスという小さな街にやってきた
ここは、かの有名な魔女の宅急便で、主人公キキが居候修行をしたグーチョキパン店のモデルとなったベーカリーがある街
あまり調べずに行ったので不安だったが、メインの通りにお店が何軒か連なっているだけの小さな街なので、すぐに場所は見つかった
店の中に入ると、雰囲気のいいカウンターがあり、アニメそのままではないが、モデルと言われればわからないでもない
それより気になるのは店からの露骨な魔女の宅急便アピール
そしてそれ目当ての観光客
しかも驚くことに、すべて中国人
ジブリの中国人気もさることながら、相変わらずの押し掛け具合に気が引けた
綺麗な街なだけに、第三者としてはこのまま穏やかな風景が残り続けることを願う
タスマニアは未舗装の道が多い
未舗装だとスピードが出せず、思ったほど距離を稼げない
日も陰り始め、道の選択に困っていると、見知らぬ人がガラスをノックしてきた
急なことで驚いたが、恐る恐るガラスを開ける
(オートではなく回転ノブで笑)
するとその人は、道に困っている僕をすれ違いざまに見て、わざわざ引き返してきてくれたのだった
自前の地図を片手に、未舗装の道や所要時間を教えてくれる
アメリカ経由で来た僕にとって、白人はなかなか我の強い印象が強い
ところがこの島の住民は、本当に優しい人が多い
最近の日本でさえこんな親切を見ることがない
人に尽くす心に触れ、こんな歳を重ねていきたいと思った
こういう出会いや感化も旅の素晴らしさだ
【4/11 MON】
朝からタスアマニア島最高峰、クレイドルマウンテンを目指す
ところがタスマニアは貿易風を直で受ける立地上、西部を中心に雨が多いらしい
この日もシトシト雨が降っている
しばらく歩いてみたが、雲が濃く山が見えない
諦めて海を目指す
ある程度標高が下がると、不思議なことに雲を抜け、スッカリ晴れた
後ろでは虹が見送ってくれている
草原を抜けると湾を見下ろせる丘に出た
遠く湾の奥では波がブレイクしている
来たこともない土地で、地図と海洋図を眺め、良い波が立ちそうな場所を予想し、実際にその場を尋ねてみて正解を確認できた時の喜びはなんとも説明し難いほど
そしてその愛着のある波で良いライディングができたとしたら、それは格別だ
それを体現できた1日だった
夕焼けのグラデーションに輝く月が、胸の高鳴りを静めるかのように穏やかに空を染める

【4/12 TUE】
海の目の前で野営したので、そのままキャンピングカーで朝ごはんを調理し、二人でパドルアウト
綺麗な海は気分がいい
しばらくして初老のローカルが追ってきた
硬く怖そうな人に思えたが、ひょんなことから会話が生まれる
デイブと名乗るそのおじさんは、この辺りのサーフィン事情を惜しげもなく教えてくれた
そしてよくこのポイントを見つけたな、ここが今日は一番いいんだと、不揃いの前歯を見せながらクシャクシャの笑顔でわらう
見た目で損するタイプだ
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初老ローカルデイブのサーフィン |
デイブは海から上がった後も島のことをたくさん教えてくれた
その優しさと、このロケーションの素晴らしさに、後ろ髪を引かれたが、僕たちは島を一周するため、またフラフラと運転を始めた
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ローカルデイブ |
島をドライブしていると、多くの野生動物や固有種に出くわす
カンガルー、ワラビー、マーモットなど様々だ
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野生のワラビー |
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アルパカ |
ただ、島のシンボルと扱われるタスマニアデビルだけはなかなか野生の姿を見せない
希少なのに加え、どうやらその名に反して臆病らしい
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タスマニアデビル飛び出し注意の標識 |
そしてもうひとつ会えない野生動物が、ペンギンだ
この島の北部には、もうわかりやすくペンギンと名乗ってしまった街がある
そして街にはペンギンのモニュメントだらけ
ペンギンツアーと銘打ったビジネスも数多い
![]() |
ペンギンの街ペンギンのペンギン像 |
ところが、肝心のその主役が見当たらない
観光協会を見つけたので問い詰める
すると、実は・・・と衝撃の事実を切り出す
9月にこの一帯を経由して南極に向かう姿を見るものの、どうやらこの街にペンギンはいないらしい
肩透かしをくらいながら、それでも美しい海岸線をドライブし、名もなき灯台で夕陽と出くわす
オーストラリアでは東海岸を行動することが多くなるため、夕陽を見るチャンスは少ない
この日の夕焼けは、おそらくオーストラリアで最後になるだろう
済んだ空気が夕焼けをより一層綺麗に染め上げた
カモメがその前を横切り、僕たちはその場を動けずにいた
【4/13 WED】
昨夜の野営地も海の目の前
南極海に面するこの孤島はどこも本当に海水が澄んでいるが、島東部に当たるこのポイントの美しさは格別だった
水の冷たさも幾分マイルド
波の質が優れているわけではないが、何より人がいない
見渡す限り妻と二人だけ
これぞ秘境のサーフトリップといったところか
ストレスなくそんな旅ができるキャンピングカーは本当に便利だ
海で自炊し、波の音で眠りに入り、太陽と共に目を覚ます
街から離れてこの生活をしていると、太陽と生活リズムが一致してくる
これが本来のバイオリズムなのか
不思議なものだ
車泊は昔から日常だが、これだけ広いベッドで寝られるとなると快適この上ない
そこらのホテルより熟睡できる
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車内ベッド |
そして抜群のロケーションを前に大好きな料理ができる点は本当に嬉しかった
この日もスーパーで買い込んだ食材を調理する
グリルと電子レンジを使い、並の食事が摂れる
キャンピングカートリップとはかくも贅沢なのだ
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インドネシア料理、ミーゴレンを調理 |
【4/14 THU】
州都ホバートからそう遠くないメジャーポイントで朝からサーフィン
南部のポイントだけにかなり水が冷たい
体を温めるために朝食を摂っていると、何やら子供たちが集りだした
サーフィン少年団とでも呼ぼうか
ジュニアチームのレッスンが始まったのだ
男の子も女の子も、ウェットスーツを2枚重ね着して海に飛んでいく
おそらく厚さの違うウェットをパターンを変えて用意するよりも、サイズ違いのウェットを重ね着して成長に合わせてサイクルさせて方が、成長期の子供たちには安く済むと言う知恵だろう
多くの子供達が重ね着していた
みんな思い思いの板でサーフィンを始める
子供の頃からこれだ
サーフィンのレベルが上がらないはずがない
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サーフレッスン |
別で少し年上の高校生くらいのグループがいた
彼らは完全にサーフィンしながらのグループデート
お互い意識し合いながら楽しそうにしている
サーフィンと生活が密着した文化
なのにハワイよりもスクール的要素が強い
サーフィン大国の真髄を見た気がした
原生林の生い茂る島、タスマニア
キャンピングカーのお陰もあり、最高のロケーションのなか、良い旅をさせてもらった

違った目線と独特の感性でオモシロいです
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